2012年01月28日

乗務員のお供

JR北海道の快速列車の男性車掌(62)が乗務中にスポーツ新聞を読んでいたことが26日、わかった。
 同社の発表によると、車掌は25日午前、札幌発小樽行きの区間快速列車(3両編成)に乗務し、銭函―朝里間、朝里―小樽築港間を運行中、後部乗務員室で新聞を読んでいた。
 乗客からの指摘を受けた同社で調査した。調査に対し、車掌は「ダルビッシュ(投手)の記事が気になった」と話している。
                                       (読売新聞)

調査の内容を推察する。
JR「おい、新聞のどの面を読んでたんだ?」
  「野球か?サッカーか?相撲、芸能面、釣り、どれなんだ?
   まさかお前、真ん中の風俗面か?」
車掌「ふつう道民として、なまら気になるっしょ、ダルビッシュ。」
といえば、許されると思ったのかな。
で、JRはなぜ読んでた記事の内容を発表したのか。
わからんけど、どうでもいいや。


ここからはわたしの思い出話。
母の証言も参考にしながら。


6歳の頃だったと思う。
わたしが住んでた田舎は、
へき地や過疎地などと言われる半日村のような地域であり、
当時車の免許を持っていなかった母は、
日用品や食料品を買出しにわたしと弟を連れ、よく電車で街まで出ていた。
身延線という無人駅ばかりの単線。
鉄道が好きだったわたしは
この買い出しが何よりも楽しみだった。

ある日、買い物が終わり帰りの電車に乗った時だった。
わたしは別の車両に一人で乗りたいと言い出した。
大人の一歩を踏み出したかったのか。
なぜそう思ったのかよく覚えていない。
母をそれをあっさり許してくれた。
自分で言うのもなんだが、小さいときはあまり手のかからない子供だった。

わたしはガラガラの車内で、4人掛けのボックスシートを独り占めにしたり、
トイレのドアを開けたり閉めたり、
車内で切符を切る車掌さんを凝視したり、
とにかくやること沢山。
これこそ好奇心と言うのだろう。
ただ、6歳児の注意力とはあまりに微々たるものだった。

窓を見ると普段母と乗っているときには
見たことのない景色が見えた。
我が家が見える。
ぼう然と見る。
そして過ぎていく。
本当は電車から我が家が見えてはいけない。
それは乗り越さないと見えないはずの位置だから。

状況を整理できないがマズイことになったことには違いない。
母を探しに車両から車両へ歩き回った。
でもどこにもいなかった。
6歳児の絶望だ。
泣いた。たぶん大声で。
ガラガラの車内だから泣き声は響いたと思う。

気付いてくれた車掌さんにヒックヒックしながら訴えた。
降りたかった駅が過ぎちゃったこと。
お母さんがいなくなっちゃったこと。
切符はお母さんが持っていること。
お金を1円も持っていないこと。
何にも持っていないのに電車を乗っててごめんなさい。
家に帰りたい。

車掌は一生懸命訴えを聞いてくれていたんだと思う。
落ち着きを取り戻し始めたわたしから、
母の名前と電話番号を聞き出していた。
ただ当時はケータイなんぞ無い時代。
4つ先の有人駅で降ろされ、
わたしの処遇は車掌さんから駅員さんに引き継がれた。

わたしは普段駅員しか入れない事務室に入ることができ、
乗り過ごした悲しさなど忘れていた。
駅から連絡をもらった母はと言えば、
当然降りてくるはずのわたしがいなかったことに、
さらわれたのか、電車から転落したのかなどと
もっと大きなスケールで心配しており、
国鉄(当時)ではなく、警察に電話しようとしていたところだったらしい。

次に来る反対方向の電車に乗せるから
母には駅まで迎えに来ていてくださいということになった。
30分ほどその駅で駅員さんと遊んでもらった。
反対方向の電車が来ると、乗せてもらった、運転室に。
電車好きにはこの上ない栄誉だが、
事情が事情だけに、送り届ける使命の下、そうなったんだと思う。
運転席の隣、補助席を下ろし、ちょこんと座っていた。
途中、運転士さんが、さきいかをくれた。
わたしはさきいかを口の中でクチャクチャしながら、
ただただ運転室からの絶景にぼけっとしていた。

日は暮れていた。
駅には母と弟、近所のおばさんも来ていた。
やっと帰れた。
いっぱい泣いた。
でも楽しかった。
30年前の車掌さん、駅員さん、運転士さんありがとう。




でも、運転士さん。
なんで運転中にさきいか持ってたの?










 
posted by しのいち at 02:03| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 鉄道のオハナシ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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