2007年11月09日

はがぬけた

子供の頃、乳歯が抜けると
上の歯ならば屋根に向かって、
下の歯ならば縁の下へ放り投げ、
丈夫な歯が生えてきますように、
と願ったものである。

昨日、32歳のわたしの歯が抜けた。

丈夫な歯が生えてくるように、
願いを込めて屋根に放り投げようか。
いや、そんなわけにはいかない。
10万円もかかった歯なのだから。

歯は抜けたのではなく、外れた。

わたしの外れた歯とは、前歯の差し歯である。
今から4年前、12本というあり得ない数の虫歯に襲われ、
1年をかけて歯医者に通った。
そもそも、奥歯が痛くて堪らないほどまで歯医者に行かず、
やっと歯医者に行ったときにはその奥歯は真っ二つに割れていた。
結果、奥歯を抜歯、前歯については抜歯は間逃れたものの、
原型をとどめる事ができず、差し歯にしたのだ。

差し歯にする時、医者が尋ねてきた。
「どうします?」
何をどうするんだ?と思っていると、
差し歯にもいくつかの材質があるというのだ。
材質は主に3種類あって、
保険が効いて数千円程度で抑えられるもの、
10万円程度と高いもの、
真ん中の4、5万円程度のもの。
値段を比較すれば、もちろん保険の効く数千円の歯を選ぶ。

さらに説明を求めると、
保険が効く歯はプラスチックで出来ていて、
虫歯菌が入りやすい、
10万円の歯はセラミックで出来ていて、
一生モノである、
4、5万円の歯はプラスチックとセラミックを混ぜた材質なんだけど、
実用化されて10年程度だから将来どうなるのかわからない、
という。
こんな説明をされたら、10万円のセラミックを選ぶしかない。
はなから一つしか答えのない3択である。

さて、そんな歯が抜けてしまった。
わずか1本の歯だが、抜けると影響が大きい。
まず、前歯ゆえに1本が欠けているだけで、
劇的に見た目はアホっぽくなる。
前歯ゆえに、思うように食事が摂れない。

仕事を早めに切り上げ、歯医者に向かう。
事前に電話で窮状を訴えておいたため、
着くなりすぐに診察台に通してくれた。
ただ、保険の効かない歯。
外れた理由によっては、再度作り直しなんてことも想像できる。
そんな気持ちが先立ってか、
「お金あんまり無いですけど・・・。」
と口にしながら、診察台にのる。
歯科医は苦笑いしながら、治療をすること20分。
治療が終わると、10万円の歯が元通りになっていた。

受付に戻り、歯科医に外れた理由を聞くと、
土台になっている元の歯が少し削れており、
それが外れた理由だという。
今後、差し歯に大きな負荷がかかるとまた外れる可能性はあるという。
それでも、前歯が元通りになったこと、
治療代が大したことなかったことでほっとした。

ただ、歯科医は続けてこう言った。
「隣の前歯、あれも虫歯ですよ。近いうちにまた来てください。」と。


これは何かの始まりなのか、いや終わりの始まりに違いない。

posted by しのいち at 22:31| 東京 ☁| Comment(7) | TrackBack(0) | いろんなオハナシ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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